今年の冬も,毛紡ぎ作家の吉田麻子さんと羊に関わるワークショップを開催することができました。
麻子さんが最初に石巻入りしたのは,2013年の2月。伝説の「モヶモヶこたつビヨリ」。日和アートセンターレジデンスプログラムで、1か月滞在してくださったので、コタツにあたりに行った方もいらしゃるのではないでしょうか。それからまちの本棚では,2015年の2月に麻子さんをお招きして以来、今回で3回目のワークショップとなります。
「モヶモヶひつじとふれあって」2/27
1日目は、原毛のごみとりなど糸つむぎの下準備作業をしていただきました。早速、麻子さんに会いに来る方もいらっしゃって、みなさん麻子さんが来るのを待っていたのですね。羊毛の生かし方を知りたくて情報を集めたら、このイベントがあることを知り,遠方からわざわざ麻子さんに話を聞きに来る方もありました。石巻周辺でも麻子さんを中心に桃生町,南三陸町・・と羊毛の良さが広がって行っているようです!
「モヶモヶひつじコースター作り〜ひつじかいのお話とおいしいパン付き」2/28 第1部
2日目前半のWSは,ひつじコースター作りです。麻子さんのごあいさつの後,羊飼い歴2年,奈良県出身の高橋さんがさとうみファームの紹介をしてくれました。震災後,観光客が激減した南三陸を活性化したいとがんばっているそうです。牧場は200頭を目指しているそう。この春20頭が生まれて現在40頭になっているそうです!桃生,南三陸,はまぐり浜クロシの羊たちの紹介もありました。それぞれ羊の種類が違うんですね。
そして,いよいよコースター作りがはじまりました。まずは羊毛でタワーを作ります。「このままでいいわ。ほわほわに触っていた~い。」と触っているうちに,みんなの顔もほわほわになってきました。
次にアルカリ性の洗剤を水に溶かしたものを毛にかけて手でぺったんこに。麻子さんが、目をつぶり、「イメージしてください。羊の毛一本一本が絡み合っていきます。今から7分間優しくなでます。」これを表裏表裏と何度も繰り返していきます。7分は,麻子さんの勘だそうです。自分だけで作ろうとして失敗する人も少なくないそうですが,ひたすらなでる!「大学の先生には,最初は赤ちゃんの背中,最後の方は夫の背中をなでるようにと教わったんですよ。でも,学生の時にはその意味がよく分からなくて・・」いう話に,みんなで大笑い。
さらに,はまぐり浜クロシの黒い毛で脚や顔を付けました。一人一人工夫を凝らしていました。羊飼いさんはこだわってひづめを付けていました。だんだん熱気が帯びてきて暑い暑いと言い出す方が出てくるほどでした。最後は,ロール状にしてくるくると擦る「エキサイトタイム!」ここからはどんどんフェルト化進み,きゅっと引き締まってきました。お湯で洗ってさらにこすってできあがり。
羊飼いさんの話はとても新鮮でした。雄1頭に40頭のメスがつくと聞いて「思わずけんかしないんですか?」という質問も出ました。大丈夫けんかしないそうですよ!また,ストレスが毛に表れるそうで,年に1回毛刈りをすることから引っ張って切れた位置でだいたいストレスがかかった時期が分かるそうです。なるほど~
そして話は,食べる方へ・・。
今日は南三陸町のイベントで羊骨スープが振る舞われているそうです。 豚骨風の白いスープになるそうでラーメンにして食べると聞いて「食べてみた~い。」と声が上がりました。今のところ,イベントの時のみで,売り出されてはいないそうです。また,出荷前に海草を食べた「わかめ羊」の肉は,さっぱりして食べやすいとか。聞くところによると銀座の三笠会館でも使われているそうです。ご近所の橋通りコモンのイタリアンレストラン「オスピタリダ・オリーノ」さんでさとうみファームさんのソーセージやチョリソーが食べられるそうですよ!
頑張って作った後には,お待ちかね,パン工房ficelleのおいしいパンを食べながらのコーヒータイム。あんパンや塩パンなど,みんなにっこりして食べました。もうすでにお店に行かれた方が,ランチも美味しいのよ~と詳しく教えてくれました。その後,順番に出来上がったコースターを見せ合いました。脚の長い羊さん,かわいい羊さん,疾走する羊さんなどなど個性豊かなひつじコースターになりました。参加者の皆様,お疲れ様でした。
最後には,麻子さんから本の紹介がありました。特に珍しかったのは,飼育方法や加工法の専門雑誌「SPINNUTSです。全国の羊関係者をリードする雑誌だそうで,なんと羊の毛のサンプルまであちらこちらに貼ってあってびっくりしました。本や雑誌は,どの世界でも深く探求していくためには必要なものなのだと改めて思わされました。
髙橋さんからは,ファームさんの目の前の海でシーカヤック体験をしたり,バーベキューで羊肉を食べたりと,ぜひ,一度遊びに行ってみてください!!とのことでした。
WSが終わる頃には,編み物がお上手な方に教わって編み物をしましょうと相談している方達もいらっしゃいました。今日の出会いが次へつながっていくなんて素敵ですね。
「モヶモヶひつじ糸つむぎとひつじ飼いのお話」2/28 第2部
街のあちらこちらに明かりがつき始めたころ,糸紡ぎ体験が始まりました。最初は,途中で糸が切れてしまうことが多く,まるで息をすると糸が切れてしまいそうで息をつめて懸命に紡いでいる方までいました。そのうち「あー,分かってきた」とつぶやきが聞かれ,やっと笑い声にも出始めました。
途中,タマネギやマリーゴールドなどで染めた色鮮やかな糸も登場しました。好みの色の毛を選び,最後にはより合わせるのも楽しそうでした。
麻子さん,髙橋さん(羊さんたちも),とても楽しい時間をありがとうございました!!