まちの本棚だより

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2020.11.29 【レポート】第10回いしのまき本の教室「ぼくは本と本屋さんが好き〜小さな出版社から見た本のゆくえ〜」 text by かつ

第10回いしのまき本の教室が開催されました。
11月28日(土)に開講した本の教室は、ゲストに夏葉社島田潤一郎さんを迎え、多くのファンを生み出す本づくりの話を聞きました。聞き手には夏葉社の本も手がける編集者丹治さんと、石巻まちの本棚の吉田さん。第1部トークイベントはオンライン配信もされました。

島田さんがいしのまき本の教室に登場するのは4年ぶり。今期12年目を迎える夏葉社。ひとり出版社の先駆けとして、いまや本好きのあいだで知らない人がいない出版社です。本の編集経験がないなか、自分のため、そして仲のよかった従兄弟を亡くした叔父叔母を励ますために出版を始めた島田さん。これまで37冊刊行してきたそうです。

こうすれば仕事が続くという信念として、誰かがやりそうな仕事はやらないと決めているそう。
誰からも注目されるものではなく、地味だけども、良い本を出版することを目標にしているとのこと。
夏葉社を始めたときはスジのよいお客さんに評価されたかったが、続けていくにつれて変化してきたそうです。
「目をみえる範囲で喜んでくれる人に向けてつくっている」「本を手にとってくれた人をがっかりさせたくないという思いで作っている」という言葉には顔の見える誰かのために本づくりを続ける島田さんの誠実さが伝わってきました。
困難に出会った時のために本を読んできたのではないかという思いがあり、不満や不安があるときに自分を支えたのはあらゆる文化だった。そうした実感から、心の糧になるような本づくりをしたいという思いが夏葉社の根底にあると感じました。

10年やると本の作り方が安定してきたが、夏葉社としてやってきたことを一度崩して、ゼロからスタートした。それが新たなレーベル岬書店。そうした自己模倣せずに新たな本づくりにむかう島田さんの姿勢に、読者として大きな期待を持って聞いていました。

第二部は文章教室。
参加者12名が事前に準備した400〜800文字の原稿を島田さんもしくは、聞き手の丹治さんが読み上げたあとに、それぞれの感想やアドバイスを加えていきました。
参加者たちのつづる文章はどれも面白く、短編集を読むかのようにアドバイスをする島田さんも唸るような優れた表現の文章が多いと思いました。
本の教室ならではのこの光景。石巻の出版文化の発展の一助になればと思って始めましたが、この場にすでにたくさんの素晴らしい書き手がいることに、なんだかとてつもない可能性を感じました。

会の最後に、5年後にまたここで文章教室やりましょうと言ってくれた島田さん。
そんなこと言わずに来年もまた来てくださいね。

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