まちの本棚だより

2025.5.8 レポート
トークイベント「石巻から考える水俣のこと、能登のこと」 text by かつ

【レポート】
森田具海写真展「ここで眺める、水俣 そして能登」連携企画 
トークイベント「石巻から考える水俣のこと、能登のこと」

仙台のブックカフェ「火星の庭」と協働し、石巻、仙台の2会場で森田具海写真展「ここで眺める、水俣 そして能登」が2025年5月3日から開催され、同日オープニング記念イベントとして本企画展と連携したトークイベント「石巻から考える水俣のこと、能登のこと」が石巻まちの本棚で開催されました。
熊本県水俣市に在住する写真家森田具海さんと、彫刻家・批評家の小田原のどかさんが聞き手として参加し、この写真展が実現した経緯から、展示写真の意図など、さまざまなトピックについてトークしました。

水俣という場所で暮らす人々の暮らしを写真を通じてみつめなおし、水俣の風景に新たな視座を与える森田さんの写真たち。森田さんの写真を撮る姿勢と、そこで暮らす人たちの話を聞くことが、写真を撮ることにつながっていることがよくわかりました。
それぞれがみている風景は同じでも、それぞれがどうやって風景をみているかは違う。
その当たり前のようでなかなか気づかないことを純粋に森田さんの写真は教えてくれます。
初めて訪れた水俣で出会った人たちにまちを案内されたり、地域の人が話したりした風景を写真を通して確認しているような森田さんの写真。
写真を撮るという行為はその先の未来で土地につながる人にバトンを渡すという行為でもあるという森田さんの視点も気付かされるものがありました。


今回のトークでは東北と水俣の共有項も話題にあがりました。
たくさんの人たちが水俣に通っていることも、どこか東北の街と共通項を感じられます。
水俣の人たちの食に対する情熱など、石巻や東北の人たちに共通する部分があることも。
そして会場に展示された写真は水俣だけでなく能登の写真もあり、こうした森田さんのまなざしが能登にどうやって続いていくか興味深く感じられました。


写真展「ここで眺める、水俣 そして能登」は5月25日(日)まで開催中です。
期間中の土・日・月曜の開館日に観覧できます。
水俣湾の風景と能登半島地震の被災地の記録を通じて、地域の記憶や人々の営みを見つめ直す試みです。
同時開催中の仙台会場「火星の庭」での展示も併せてご鑑賞ください。

(文・写真: 勝 邦義)

前へ

アーカイブ

page top