まちの本棚だより

カテゴリー:レポート

2016.2.29 【レポート】手紡ぎ作家吉田麻子さんのワークショップ「モヶモヶひつじと本のある休日」 text by 本棚くん

今年の冬も,毛紡ぎ作家の吉田麻子さんと羊に関わるワークショップを開催することができました。
麻子さんが最初に石巻入りしたのは,2013年の2月。伝説の「モヶモヶこたつビヨリ」。日和アートセンターレジデンスプログラムで、1か月滞在してくださったので、コタツにあたりに行った方もいらしゃるのではないでしょうか。それからまちの本棚では,2015年の2月に麻子さんをお招きして以来、今回で3回目のワークショップとなります。

「モヶモヶひつじとふれあって」2/27
1日目は、原毛のごみとりなど糸つむぎの下準備作業をしていただきました。早速、麻子さんに会いに来る方もいらっしゃって、みなさん麻子さんが来るのを待っていたのですね。羊毛の生かし方を知りたくて情報を集めたら、このイベントがあることを知り,遠方からわざわざ麻子さんに話を聞きに来る方もありました。石巻周辺でも麻子さんを中心に桃生町,南三陸町・・と羊毛の良さが広がって行っているようです!

「モヶモヶひつじコースター作り〜ひつじかいのお話とおいしいパン付き」2/28 第1部
2日目前半のWSは,ひつじコースター作りです。麻子さんのごあいさつの後,羊飼い歴2年,奈良県出身の高橋さんがさとうみファームの紹介をしてくれました。震災後,観光客が激減した南三陸を活性化したいとがんばっているそうです。牧場は200頭を目指しているそう。この春20頭が生まれて現在40頭になっているそうです!桃生,南三陸,はまぐり浜クロシの羊たちの紹介もありました。それぞれ羊の種類が違うんですね。
そして,いよいよコースター作りがはじまりました。まずは羊毛でタワーを作ります。「このままでいいわ。ほわほわに触っていた~い。」と触っているうちに,みんなの顔もほわほわになってきました。

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次にアルカリ性の洗剤を水に溶かしたものを毛にかけて手でぺったんこに。麻子さんが、目をつぶり、「イメージしてください。羊の毛一本一本が絡み合っていきます。今から7分間優しくなでます。」これを表裏表裏と何度も繰り返していきます。7分は,麻子さんの勘だそうです。自分だけで作ろうとして失敗する人も少なくないそうですが,ひたすらなでる!「大学の先生には,最初は赤ちゃんの背中,最後の方は夫の背中をなでるようにと教わったんですよ。でも,学生の時にはその意味がよく分からなくて・・」いう話に,みんなで大笑い。
さらに,はまぐり浜クロシの黒い毛で脚や顔を付けました。一人一人工夫を凝らしていました。羊飼いさんはこだわってひづめを付けていました。だんだん熱気が帯びてきて暑い暑いと言い出す方が出てくるほどでした。最後は,ロール状にしてくるくると擦る「エキサイトタイム!」ここからはどんどんフェルト化進み,きゅっと引き締まってきました。お湯で洗ってさらにこすってできあがり。

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羊飼いさんの話はとても新鮮でした。雄1頭に40頭のメスがつくと聞いて「思わずけんかしないんですか?」という質問も出ました。大丈夫けんかしないそうですよ!また,ストレスが毛に表れるそうで,年に1回毛刈りをすることから引っ張って切れた位置でだいたいストレスがかかった時期が分かるそうです。なるほど~
そして話は,食べる方へ・・。
今日は南三陸町のイベントで羊骨スープが振る舞われているそうです。 豚骨風の白いスープになるそうでラーメンにして食べると聞いて「食べてみた~い。」と声が上がりました。今のところ,イベントの時のみで,売り出されてはいないそうです。また,出荷前に海草を食べた「わかめ羊」の肉は,さっぱりして食べやすいとか。聞くところによると銀座の三笠会館でも使われているそうです。ご近所の橋通りコモンのイタリアンレストラン「オスピタリダ・オリーノ」さんでさとうみファームさんのソーセージやチョリソーが食べられるそうですよ!
頑張って作った後には,お待ちかね,パン工房ficelleのおいしいパンを食べながらのコーヒータイム。あんパンや塩パンなど,みんなにっこりして食べました。もうすでにお店に行かれた方が,ランチも美味しいのよ~と詳しく教えてくれました。その後,順番に出来上がったコースターを見せ合いました。脚の長い羊さん,かわいい羊さん,疾走する羊さんなどなど個性豊かなひつじコースターになりました。参加者の皆様,お疲れ様でした。

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最後には,麻子さんから本の紹介がありました。特に珍しかったのは,飼育方法や加工法の専門雑誌「SPINNUTSです。全国の羊関係者をリードする雑誌だそうで,なんと羊の毛のサンプルまであちらこちらに貼ってあってびっくりしました。本や雑誌は,どの世界でも深く探求していくためには必要なものなのだと改めて思わされました。

髙橋さんからは,ファームさんの目の前の海でシーカヤック体験をしたり,バーベキューで羊肉を食べたりと,ぜひ,一度遊びに行ってみてください!!とのことでした。
WSが終わる頃には,編み物がお上手な方に教わって編み物をしましょうと相談している方達もいらっしゃいました。今日の出会いが次へつながっていくなんて素敵ですね。

「モヶモヶひつじ糸つむぎとひつじ飼いのお話」2/28 第2部
街のあちらこちらに明かりがつき始めたころ,糸紡ぎ体験が始まりました。最初は,途中で糸が切れてしまうことが多く,まるで息をすると糸が切れてしまいそうで息をつめて懸命に紡いでいる方までいました。そのうち「あー,分かってきた」とつぶやきが聞かれ,やっと笑い声にも出始めました。

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途中,タマネギやマリーゴールドなどで染めた色鮮やかな糸も登場しました。好みの色の毛を選び,最後にはより合わせるのも楽しそうでした。
麻子さん,髙橋さん(羊さんたちも),とても楽しい時間をありがとうございました!!

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2015.11.22 【レポート】「本を楽しく並べよう」北書店による本棚作りワークショップ text by 本棚くん

本に関わる仕事や本のある場所の可能性を探る「第2回いしのまき本の教室」が開催されました。
現在開催中の「エフスタイル+北書店」での連動企画。新潟の北書店から店長佐藤雄一さんにお越しいただき、「本を楽しく並べよう」と題した実践型の本棚作りのワークショップです。「いしのまき本の教室」は、まちの本棚を舞台に、本に関わる様々な要素を学んでいこうとする講座で、第1回は5月に仙台〈火星の庭〉の前野久美子さんをお招きして、「ブックカフェのはじめかた」を開催しています。

佐藤さんは新潟の老舗書店である北光社の店長を務めたあと、北光社の閉店と同時に2010年から新潟で個人経営の新刊書店を営んでいます。まちの書店が次々と姿を消すなか、この十年くらいは個人で大手取り次ぎと契約した新刊書店は北書店以外出ていないのではないかと言われているくらい。すごいことだそう。
まずはご自身のお店での本の並べ方などをお話しいただき、さっそく本棚づくりの実践にはいります。
空っぽの棚に「まちの本棚」の在庫から100冊ほどの本をどんどん並べます。並べ方のコツや見せ方の工夫などおしゃべりいただきながら、あっという間に30分ほどで完成。その場にあった本だけで、面白そうな棚ができました。
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続いて参加者の実践。
同じく本棚の在庫から無作為に抜き出した500冊を、先ほどの佐藤さんのレクチャーを参考に選び、ひとりひと枠の棚を作っていきました。ご自身に持参いただいた本を加えて、こちらも30分ほどで完成!ほとんどアドリブなのに、個性やストーリーが見える棚が出来上がりました。それを見ながら、各自が自分のつくった棚について、テーマや並べ方についてコメントします。説明されると、「そんな意味があったのか!」と感心します。みなさん、じつに細かいところまで考えているんです。ほかの人のコメントを聴きながら、自分の棚から目が離れず、ちょいちょい手を出して並べ替えている人がいたのも印象的でした。最後にそのコメントを要約して書いた紙を、各自の棚に貼って完成です。参加者に訊いてみると、「自分で選んだ本を並べるという作業が、とても楽しかったです」とおっしゃっていました。

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本棚を作るというと、きっちりしたルールがあったり、しっかり知識が必要なのかと思っていました。
佐藤さんの話を通じて、自由な発想で本を並べることがいかに重要かということがわかりました。
書店員や図書館員など、日常的に本と接する仕事をしている人でなくても、自分の家の本棚を並べ替えてみると、新鮮な発見があると思います。今回のワークショップがそのきっかけになれば嬉しいです。これから「まちの本棚」の棚も、少しずつ手を加えてみたいと思います。

残された時間で、佐藤さんが店から持ってきた新刊を紹介してもらいました。開催中のエフスタイルの展示にあわせて、新潟の文化を知るための本や、生活や働き方に関する本を紹介するその言葉で、その本を手に取りたくなります。終わってから、よく売れました。

2015.7.11 【はじまりました】暮らしの道具 松野屋 あらもの雑貨の世界 text by 本棚くん

7月より石巻まちの本棚では「暮らしの道具 松野屋 あらもの雑貨の世界」が始まっています。
松野屋さんが日本各地の作り手たちと対話して生み出した商品たち、世界中から見つけてきたモノたちが集まり、
本であふれた店内から、愛おしい道具であふれた店内にパッと変わりました。
この機会に是非ともお立ち寄りください。

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松野屋さんの あらもの雑貨展
期間:7月4日(土)~8月31日(月)
土・日・月 11:00-18:00
期間中同時開催:松野弘さんの本棚 〈70 年代といまを結ぶ本〉

2015.5.13 【レポート】いしのまき本の教室:ブックカフェのはじめかた text by 本棚くん

「いしのまき 本の教室」第1弾「ブックカフェのはじめかた」は、仙台のブックカフェ「火星の庭」の前野久美子さんを講師にお迎えして5月9日に開催されました。
参加者は21名、地元の方以外にも、仙台、丸森、東松島、福島の方もいらっしゃって、「火星の庭」と前野さんの威力をあらためて思い知らされました!

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第一部は、前野さんがブックカフェを始めたいきさつからスタート。「火星の庭」の運営を例にして「ブックカフェを生業とすること」を、具体的な数字を交えながらお話してくださいました。
あまりに具体的なので経営の難しさを実感でき、いやぁまいったなー!という気分になりましたが、軽々とお話する前野さんにどんどん引き込まれていきました。

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そして近頃のブックカフェブームに嫌気がさし?海外の本屋めぐりをした時のお話へ。
ニューヨークと台湾でめぐった本屋さんを紹介しながら、刺激をうけた様子を大いに語ってくださいました。純粋に「本」に出会い楽しめる場所、街、人々をいきいきと感じられるお話でした。最後に前野さん「ブックカフェをやろうと思っている人は台湾の本屋に行け!」

ふたたび経営の話に戻り、ブックカフェといっても、さまざまなスタイルがあること、都会と地方ではやりかたが違ってくること、などのお話から「大切なのは自分がどうしていきたいのかのイメージをしっかり持つこと」ということで、第二部のワークショップに突入です!

第二部のワークショップはテーマが2つあり、まずは作りたいお店のイメージをワークシートに記入するところから。
ワークシートには、「お店の立地は?」「本は何冊?」「お客さんは何人?」など細かい質問が並び、最後は「ブックカフェの見取り図」を書きます。ただしここでは、あくまで理想100%で書くこと。実際はない条件でOKということで、みなさん自由に書き込んでいました。
20分ほどかけて書いたワークシートをテーブルに並べ、今度はそれぞれ、行ってみたいと思ったシートに投票していきます。一人3つ投票するのですが、時間が少なくなかなか難しかったですが楽しい作業でした。印が多かった上位3名の方にはくわしく発表していただきました。
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ワークショップ2つ目は「模擬値付け体験」。今回の講座では、「もしブックカフェをひらいた時、本棚に並べたい本」を一冊持って来ていただきました。それを全部並べて、各自「欲しい!」と思う本の落札価格を書いた紙を、本の上に置いた封筒に入れます。「実際は一瞬だからね!一瞬!」・・・と言われても。実際の入札には、とても及びませんが、どんなしくみで古本を落札するのか、楽しく体験させていただきました。

今回の参加者の中には、実際にブックカフェの準備をすすめている方が何人かいらっしゃって、講座後の打ち上げも熱く盛り上がったのでした。
今後、いろんな所に、本のある個性的なスペースが増えて行くような期待が感じられ、嬉しい日にもなりました。

2015.4.12 【レポート】皆既月食を楽しもう text by 本棚くん

石巻まちの本棚の3・4月の展示は、体験作家中野純さんによる「月夜のある生活」をテーマに選んだ本棚。月や闇に関わる興味深い本がならんでいます。
4月4日には、中野純さんによるトーク「日本人はこうして月を楽しんだ」と中野さんがガイドした「石巻・牧山ムーンライトウォーク」が開催されました。ここでは石巻まちの本棚スタッフがそのイベントの模様をお伝えします。

トーク「日本人はこうして月を楽しんだ」 
 古来より月を愛でてきた日本人。街から闇が失われ,その風習がなくなってしまったと思われるわたしたちの生活の中にも,実は,少し思いを広げると,「月の国」日本の証しが残っていることを中野さんに教えてもらいました。
XT1A0341写真:渡辺征治

 『出た出た月が~』「月」といえば,この歌。現代の私達は,月を親しむ中秋の名月のときでさえ,月を一寸「見る」だけになってしまいましたが,月が出てくるのを「待っている」歌との指摘に,なるほどと目から鱗でした。そして,「三夜待ち」という言葉や,今でも各地に残る「二十三夜堂」も見せていただき,夜中に月を待つ昔の人の楽しみを垣間見ることができました。なんと佐賀では,コンパのことを「三夜待ち」と言っているとか・・。
 米国アリゾナの高地に滞在したときのすさまじい月射しの体験談から,湿潤な日本だからこそ,月が愛おしいと思えるのだなあと「月と水のおぼろ文化」を再認識しました。
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 その他にも,月傘やムーンボー(月虹)等の月遊びを紹介していただきました。中野さんの著書『図解「月夜」の楽しみかた24』には,さらにたくさんの月遊びが紹介されています(期間中は石巻まちの本棚でも販売中)。「月の国の末裔」として,月光を楽しみ尽くす月遊びをさっそくしてみたくなりました。

石巻・牧山ムーンライトウォーク
 まちの本棚から,そのまま歩いて牧山登り口へ。そこから参加の方と合流して,零羊崎神社の参集殿へと向かいました。夕暮れに山へ向かうというのは,想像以上にわくわく感があり,初めてお会いした方とも,小さい頃の遠足や以前参加したナイトウォークの話などで盛り上がりました。
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途中,ウグイスの声,木々の芽吹き,わき水等,牧山の春を感じることができました。参集殿の大広間をお借りし,日和キッチンさんの特製月見弁当とおくずかけを美味しくいただき,まずは,一息。XT1A0354

お腹が満足したところで零羊崎神社に移動し,神社成立の経緯や、震災の時の避難所としての役割を果たしたお話を宮司の櫻谷さんからお聞きしました。
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▼そして月夜歩きへ
零羊崎神社を出ていきなり,山中に入りました。「危ないときだけ懐中電灯をホタルのようにつけて」と教わりましたが,闇歩きになれていない私達は,絶対無理!と足下を照らしながら,転ばないように必死に中野さんについて行きました。小さな祠を巡りながら闇の中を歩くうちに,次第に現世を離れていくような・・。
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月食が始まり,さらに歩いて行くと少しずつ昇ってきた月に照らされ,月の明るさを体感しました。まるで,大きな街灯がそこかしこにあるようで,振り返るとその先には月があるのです。中野さんがトークでおっしゃっていたとおり,月でできる影はとても存在感がありました。途中,中野さんが闇の中で見えなくなる色は,「赤」という話をしてくださり,「ここには何があるでしょう。」と立ち止まりました。目を凝らしても見えるのは,月明かりに静かに光る葉だけでした。その後,懐中電灯を当てると,なんとそこは,満開のツバキが群れていました。

▼月見団子と月待ちタイム
最後の最後,今から皆既月食が見られるというときになって,雲が厚く垂れ込めてしまいました。月見団子を食べ,しばらく草原に寝転がり,月が雲間から現れるのを待ちました。春の草は優しく,体中が夜の山に溶け込んで行くようでした。月を浮かべて飲んで寿命を延ばす「飲月」は次回へ持ち越しとなりましたが、まさしく,みんなで「月待ち」を楽しんだ夜でした。 
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▼夜の開館
そしてムーンライトと同時刻、まちの本棚では皆既月食の夜の開館を開催しました。天体望遠鏡による皆既月食の観察や、月見酒の実践など月とたっぷり遊んだ一日になりました。

                                     

2015.2.13 冬のクラフト展 連動企画 吉田麻子さんによる羊のワークショップ text by 本棚くん

現在開催中の冬のクラフト展に連動して、出展作家のひとりである吉田麻子さんによる羊の毛を使ったワークショップが、先週2/7・8に開催されました。
両日とも定員が満員になるほどの大盛況。
段ボールを使って羊の毛を編みコースターなどに。スピンドルを使って羊の毛から糸を紡ぎました。
こたつで暖まりながら大人も子どももゆっくりとした時間を過ごし、楽しいモヶモヶ羊のワークショップが体験できました。
吉田さんありがとうございます。

まちの本棚ではこうしたものつくりによる出店をお待ちしてしています。
小さな手作り品や1点モノなど出展してみたい方、本好きが集まるこのスペースにあなたの作品を置いてみませんか。
ものつくりの体験を提供する講座やワークショップを開催したい方も気軽にご相談ください。

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